その疲れ、仕事のせいじゃないかも?
「一日中デスクに座っていただけなのに、なぜか夕方にはぐったり疲れている…」 そんな経験はありませんか?
肉体労働をしたわけでもないのに、目が重く、頭が働かない。 もしあなたが「体力の低下」や「歳のせい」だと思っているなら、犯人は別にいるかもしれません。
それは、あなたの頭上から降り注ぐ「照明(LED)」です。
最新のバイオハックの世界では、現代の人工的な光のことを、栄養のないジャンクフードになぞらえて「ジャンクライト(質の悪い光)」と呼ぶことがあります。 今日は、私たちが毎日浴びている光の「栄養失調」についてお話しします。
「白い光」の正体は「青色」だった
私たちのオフィスや家庭を照らすLED照明。一見すると、太陽のような「白い光」に見えます。 しかし、光の成分(スペクトル)を分解してみると、太陽とは似ても似つかない歪な形をしていることがわかります。
- 太陽の光: 七色がなだらかに混ざり合い、バランスが取れている。
- LEDの光: 「青色」だけが異常に突出していて、それを黄色いフィルターで無理やり白く見せている。
つまり、私たちは日中、「強烈なブルーライトのシャワー」を浴び続けているようなものです。 目には見えなくても、この突き刺さるような青色は、脳に「今は真昼だ! 覚醒しろ!」という過剰な命令を送り続けます。これが、デスクワークなのに自律神経が休まらず、疲弊してしまう第一の原因です。
省エネの代償に捨てられた「癒やしの光」
しかし、LEDの最大の問題は「青いこと」ではありません。 「太陽にはあって、LEDにはないもの」があることです。
それは、「近赤外線(きんせきがいせん)」です。
太陽の光を浴びるとポカポカ暖かく感じますよね。あの熱の正体が近赤外線です。 実は近赤外線には、単に物を温めるだけでなく、細胞レベルでの重要なヒーリング効果があることがわかっています。
ミトコンドリアを「充電」する光
私たちの細胞の中には、ミトコンドリアという器官があります。
※ミトコンドリア: 細胞の中にある「小さな発電所」。私たちが活動するためのエネルギーは、ほぼ全てここで作られています。
実は、このミトコンドリアにある酵素(シトクロムcオキシダーゼ)は、近赤外線を吸収して活性化するという性質を持っています。 つまり、近赤外線を浴びることは、疲れた細胞の発電所にスイッチを入れ、「エネルギーの急速充電」を行っているのと同じなのです。
- 太陽: 紫外線でダメージを与えるが、同時に近赤外線で修復もする(アメとムチのセット)。
- LED: 熱を持たない=「修復する光(充電器)」がゼロ。
LEDは「クールな光」として熱をカットしました。その結果、私たちは「細胞を修復するチャンス」を奪われたまま、刺激的な青色光だけを浴び続けることになったのです。
「エコ」が「体」に良いとは限らない
ここで少し皮肉な話をしましょう。 かつて東京都などでは、家庭の白熱電球をLEDに交換するキャンペーンが盛んに行われました。なぜ白熱電球が「悪者」にされたかご存知ですか?
理由は、「エネルギー効率の悪さ」です。 白熱電球は、電気の95%を「熱」として捨ててしまい、光になるのはわずか5%程度。「地球温暖化の敵」のような扱いでした。
しかし、人体の視点で見ると話は逆転します。 環境政策で「無駄なゴミ(熱)」として切り捨てられたものこそが、実は私たちの細胞を修復してくれる「近赤外線」だったのです。
「地球に優しい(エコ)」選択が、必ずしも「ヒトの体に優しい」とは限らない。 私たちは省エネという正義の代償として、太陽に近い「癒やしの光」を失ってしまったのかもしれません。
近づきすぎはNG! 光の「適量」を知る
「じゃあ、赤外線が出る電気ストーブを至近距離で浴びればいいの?」 そう思うかもしれませんが、それは間違いです。ここは非常に重要なポイントです。
近赤外線は「諸刃の剣」です。
- 【毒になる場合】強すぎる熱 ガラス吹き職人や製鉄所の作業員には「白内障」が多いことが知られています。また、強い赤外線による熱は、肌のコラーゲンを破壊し「シワ・たるみ」の原因(光老化)にもなります。
- 【薬になる場合】ほのかな温かさ 細胞の修復に必要なのは、「ほんのり温かい」〜「熱を感じない」程度の弱い光です。
目指すべきは、強烈な人工熱源ではなく、「木漏れ日のような優しさ」です。
今すぐできる「光のサプリメント」摂取法
職場の照明を勝手に変えるわけにはいきませんが、足りない「光の栄養」を補うことは可能です。
- 窓際の席を死守する ガラス越しでも構いません。太陽光のスペクトルはLEDよりも圧倒的に豊かです。時々窓の外を眺めるだけでも、目は「本物の光」を取り込めます。
- 「外ランチ」のすすめ お昼休みは、外に出ましょう。たった10分でも直射日光(または木陰の光)を浴びることで、不足していた近赤外線が補給され、ミトコンドリアが元気を取り戻します。私は毎日外で弁当を広げています。
- デスクライトを「白熱電球」に変える もし可能なら、自宅の読書灯などは昔ながらの「白熱電球(またはハロゲン電球)」に変えてみるのも方法です。電気代はかかりますが、これらは微量の赤外線を出すため、LEDよりはるかに目に優しい「有機的な光」です。
光を「選んで食べる」時代へ
原始の時代、人類は太陽とともに起き、焚き火(赤外線たっぷりの光)を見つめて眠りにつきました。私たちのDNAは、まだそのリズムを覚えています。
「ただ明るければいい」という時代は終わりました。 これからは食事と同じように、光も「質」で選ぶ。 ときどき空を見上げて、LEDで乾いた体に「本物の光」をご馳走してあげてください。
それだけで、今夜の眠りが少し変わるかもしれません。

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