1. 「ふかふか」ではなく「硬い床」が当たり前だった?
現代人は、つい「柔らかく包み込まれるような寝心地」を求めがちです。
しかし、人類が誕生してから数百万年の間、私たちの祖先は「硬い地面」の上で眠るのが当たり前でした。
彼らは草や灰を敷き詰め、虫を避けながら「少し硬めの寝床」を作っていたという調査もあるようです。
実は、柔らかすぎるベッドには「体が沈み込みすぎて寝返りが打ちにくい」というデメリットがあります。
腰痛に悩む人が、畳やフローリングに布団を敷いただけで楽になることがあるのも、私たちの体が「ある程度硬い環境」に適応して進化してきた名残なのかもしれません。
さらに、人間の背骨は直立二足歩行のために「S字カーブ」を描いています。
硬い床の上でこのS字を保って快適に眠るには、仰向けよりも自然と「横向き」になる必要があったのです。
2. 「いびき」は命取り? 生存戦略としての「横向き寝」
この「横向き寝」は、別の意味でも重要でした。
いびきに悩む現代人は多いですが、野生の世界で「大いびき」をかいて寝ることは、肉食獣に自分の居場所を知らせる「自殺行為」になりかねません。
そのため、原始の人々は自分の身を守るためにも、「仰向け」ではなく「横向き」で寝ていたと考えるのが自然です。
医学的にも、仰向けで寝ると重力で舌が喉の奥に落ち込み、気道が狭くなって音(いびき)が出やすくなることがわかっています。
■参考記事:[仰向け寝がいびきの原因になる理由について]
一方、横向きに丸まって寝れば、気道は確保されやすく、静かに呼吸ができます。 つまり、私たちがいびきをかくのは、安全な家の中で仰向けになって寝るようになった「平和の代償」なのかもしれません。
3. 「8時間熟睡」は現代の幻想?
「夜中に目が覚めてしまう」と悩む人も多いですが、これも悲観することではありません。 電気が普及する前の古い時代、人々は「二分割睡眠(第一の睡眠・第二の睡眠)」をしていたと言われています。
■参考記事:[分割睡眠について]
日が沈んだら一度眠り、夜中に起きて数時間活動し、また明け方まで眠る――。
現代の睡眠科学で言われる「深いノンレム睡眠(体の修復)」と「浅いレム睡眠(脳の整理)」のリズムも、この二分割睡眠の名残である可能性があります。
また、集団生活の中で外敵から身を守るため、誰かが起きている(あるいは浅い眠りの)状態を維持する「不寝番」の本能が、今の私たちのDNAに残っているという説もあるようです。
産業革命によって電気が当たり前となり、夜の活動時間が長くなった結果、私たちは睡眠を分割できなくなっただけなのかもしれません。 「夜中に目が覚めるのは、野生の本能がまだ生きている証拠」 そう思えば、少し気が楽になりませんか?
結論:野生を取り戻す「あえての不便」
進化の過程を振り返ると、現代の私たちが良かれと思って選んでいる「柔らかすぎるベッド」や「仰向け寝」が、実は体の構造に合っていない可能性が見えてきます。
もし今、睡眠に悩んでいるなら、高い道具を買う前に「原始への回帰」を試してみるのも一つの手です。
- 枕や布団を少し硬めにしてみる
- 「横向き」で丸まって寝てみる
- 夜中に目が覚めても「正常な反応だ」と開き直る
便利さを少し手放して、自分の中にある「野生」を呼び覚ますこと。それが、一番の薬になるかもしれません。


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